2019年01月12日

「THE SHOW MUST GO ON」~QUEENへの個人的な想い~ vol.3

フレディの死後、QUEENの残されたメンバーは、
リベラルなスタンスをさらに明確にします。

かつてQUEENが白人娯楽施設サンシティに出演し世界中から批判された
南アフリカで人種差別政策が撤廃された後に選ばれた
黒人大統領ネルソン・マンデラ。

そのマンデラが「テロリスト」とされて
27年間投獄されていた時の囚人番号からタイトルをつけた
チャリティコンサート「46664」は、
2002年~07年まで南アフリカやイギリスで計6回開催されましたが、
そのうちの4回にQUEENは出演し、その中心的役割を担っています。

この「46664」キャンペーンは、
サハラ以南のアフリカ地域で特に深刻なエイズ対する意識向上を
目的としたものですが、
「フレディ」
「QUEEN」
「南アフリカ」
「人種差別」
「エイズ」といったキーワードが
ひと続きに繋がったものと言っても良いでしょう。

そう考えれば、
QUEENのメンバーが積極的に関わり続けるのも当然でしょう。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

2004年~09年の間QUEENは、ポール・ロジャースをボーカルに迎え
QUEEN +Paul Rodgersとして
活動を再開しました。

ポール・ロジャースは、僕が最も好きなバンドFREE
そしてBAD COMPANYのボーカル。
一番好きなボーカルと言っても良い人です。(フレディごめん! 笑) 
このメンバーで来日した時にはもちろん観に行きました(^_-)-☆

「QUEENはフレディじゃなきゃ!」
って人達には不評だったようですが、
僕はスペシャルな「別物」として大満足でした。
QUEENではなくQUEEN +Paul Rodgersなのですから。
QUEEN+FREE+BAD COMPANYって「お得」感満載 笑

ツアー後、このメンバーで1枚だけ
「COSMOS ROCK」
というスタジオアルバムを出しました。
このアルバムはイギリスでチャート最高5位、日本でも最高40位と
売り上げはイマイチでした。

確かに、
「QUEEN」という名前が入っているけれど
「QUEEN +Paul Rodgers」という別物。
「QUEEN」のイメージを期待する人はがっかりするでしょう。
アルバムの完成度もあまり高くないのは否めませんが、
個人的には好きです。

なぜなら、
メッセージソング満載のとてもリベラルなアルバムだからです。

「46664」のために書き下ろされ、その後のライブで必ず演奏された
「SAY IT’S NOT TRUE」

世界に数十万いると言われる子ども兵士のことを歌った
「WARBOY」も。

中でも一番好きなのが
「WE BELIEVE」です。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「WE BELIEVE」

僕は信じる
この世界にある邪悪なものはすべて
僕らに関係があるのだということを
君は信じる
今こそ平和が必要
今こそ理解が必要なんだということを

僕らの中には
「自分は選ばれた存在」
「神が味方だから決して負けはしない」
そんな風に信じる者もいる
「天国はある」
「やがて審判の日が訪れるに違いない」
そう信じる者もいる

でもはっきり言おう

僕は信じる
この世界で、兄弟たちの言葉に
耳を傾けるチャンスは一度きりだと
君は信じる
互いが理解し合うためには
もっといい方法があるはずだと

僕らは他人(他国の人)が言うことを理解しない
言葉は聞こえるはずなのに理解できていない
だから世界中にはいつも同じ怒りが渦巻き
誰もが泣いて悔やみ
そしてまた同じ悲劇を繰り返す

僕らは信じる
「闘う」ためには
もっと良いやり方があると
世界中の子どもたちが安心して眠れる
そんな方法があると
僕らは信じる

僕らは信じる
「勝つ」ことができる戦争がある
でもそのためのただ一つの方法は
自分に必要なものを相手に与えることなのだと

僕は信じる
英雄が目の前に現れてほしいと
皆が願っていることを
君は信じる
それにふさわしい人物が
既に僕らの目の前にいることを

男でも女でも構わない
謝罪の言葉を口にすることでき
強い信念とそれに劣らない強い勇気を持ち
時代の変化に飲まれることなく
強い意志を持って行動を起こし
この世界に新しい夜明けをもたらしてくれる
そんな指導者が

僕らは信じる
僕らには責任がある
対立する国々の和解を促し
世界中の人に平和をもたらす
そんな義務があると僕らは信じる

僕らは信じる
ほんの少しの時間も無駄にはできないと
世界が闇に覆われたら罪を正すことはできない
平和 それが僕らに必要なもの

僕らは信じる

全ての父親、すべての母親は知っている
そして指導達は忘れている
この世界の人すべてが大切な宝物だということを
そして
大した理由でもないのに銃弾が飛び交い
自分たちが与えた苦痛だけが最後に
私たちのもとに残される

僕らは信じる
歌う価値のある歌がある
そしてそれは
僕らが歌う真実の歌だと
この世界を分かち合う方法はきっとある

僕らは信じる
生きるもの全てに価値があり
敬意を払わなければならないのだと
そしてそのすべてに
太陽のもとで幸せに暮らす権利があると

それが、僕らが信じていること
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

I believe
There's no evil out there we didn't have a hand in
You believe
It's a time for peace and a time for understanding
Some of us believe that we are chosen
And if God is on our side we'll win the game
And some of us believe that there's a heaven
When the trumpets sound and the judges call your name
But let's get it straight

I believe
There's just once chance in this world to hear our brothers
You believe
There's a better way to listen to each other
We don't get what the other guy is saying
We hear the words but we don't understand
So around the world the same old anger raging
and we all cry for shame and the same old tragedy goes down

We believe
There's a better way to fight
There's a way to make our children safe at night
We believe
There's a war we could be winning
But the only way to win it is to give what we need to receive

I believe
We need a hero to step boldly from the shadows
You believe
There must be someone on the scene that fits the bill
A man or a woman who knows how to say I'm sorry
With courage in his heart to match his creed
A leader who can build a brand new morning
And match the tide of changes
Match the intent with the deed

We believe
There's a deed of obligation to bring reconciliation
To make peace with every nation - in our time
We believe
There's not a minute we should be wasting
When the darkness falls
it's too late to fix the crime, it's peace that we need

Every father every mother knows the meaning
Human treasure that our leaders do forget
And the bullets fly in the face of common reason
And the pain we give is the legacy in the end we get

We believe
There's a song that's worth the singing
It's a song of truth we're bringing
There's a way to share the Earth with everyone
We believe
Every creature has a being
Has a right to respect and feeling
To live and breathe and flourish in the sun

That's what we believe


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

映画「ボヘミアン・ラプソディ」は
事実とは異なる内容で脚色されたフィクションです。
だから、以前からQUEENのことをよく知るファンが
「これはダメでしょ。」と言う気持ちもわかります。

でも、実話をアレンジしたストーリーとしては
劇的に仕上げた極上の作品であることは確かでしょう。

僕が前半に書いた、この映画を観ないことを決意した理由の一つである
「ライブエイドがラストになっている」ことに物足りなさを感じる点も、
客観的は納得できることです。

なぜなら、もしこの映画が
フレディがエイズを発病して死に至るまでのストーリーであったならば、
その内容はあまりにも生々しいものになったでしょうし、
それはフレディの美学にも反することになったでしょう。

また、観る人によっては、フレディの病状を嗅ぎ回っていたマスコミと
同じ視点になりかねないでしょう。
かつてHIVやエイズに関する知識が広がっていなかった時代のように、
改めてLGBTへの差別感を抱いてしまう人がいるかもしれません。

そういう意味でも、この映画はクライマックスは適切なのだと思います。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

いくら映画の中でドラマチックに脚色したとしても描き切れないほど
QUEENは素晴らしいROCKバンドであったことも確かです。
だからこそこの映画はゴールデングローブ賞を受賞し
多くの人に認められたのでしょう。

QUEENは高い音楽性と豊富なアイデアで商業的成功を手に入れました。
楽曲のメッセージ性は薄いものでしたが素晴らしい音楽で
多くのファンの心を掴みました。

しかし商業的成功は、それ以上でもそれ以下でもありません。
フレディを始めメンバーの心の中には
欠落している「何か」があったに違いありません。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

フレディはイギリスの植民地タンザニアで
ペルシャ系インド人の子として生まれました。
そして17歳の時にイギリスに移住。
自分のルックスにコンプレックスを持ち
植民地からの移民として差別も受けていたとも伝えられています。

また、彼がバイセクシュアルであることは半ば公然ではありましたが、
LGBTへの理解などほぼゼロであった時代でしたから、
その孤立感の深さは想像に難くありません。
興味本位で追及されたり追いかけられたりということも
大きなストレスであったことでしょう。

しかし、だからこそ彼の傷ついた内面が
ROCKとして昇華されていったのでしょう。

前述した通りROCKのルーツは
弱者の自己表現であり、マイノリティの心の叫びなのですから、
フレディの、QUEENの音楽が
強いメッセージ性を持ったものに帰結していったのは
必然であったのだと僕は思うのです。

そして、
彼らの心の中の欠落した「何か」が埋められたのは
フレディが自分のいのちを賭し、メンバーがそのフレディとともに
メッセージを込めて歌をつくっていったその時だったのではないでしょうか。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

ROCKは
「境界線をなくす」「壁を壊す」ための音楽
「人と人を繋ぐ」ための音楽なのだと僕は信じています。

人種の壁
国と国との境界線
性別の壁
「障がい」と「健常」の境界線
マジョリティとマイノリティの壁

かつてアメリカに
黒人たちが奴隷として運ばれてきた時にも
いつの時代にも
「壁をつくろうとする人」
「線を引こうとする人」
「人を鎖につなごうとする人」
「力や権力や金で支配しようとする人」
「マイノリティを軽視する人」
そういう人たちはいるものです。

そういう力に対して声を上げてゆく音楽がROCKなのだと
僕は信じています。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

そしてフレディ始めQUEENのメンバーの、
「人と人とを繋げ、想いを繋げてゆく」責務を負う自覚と覚悟の表れが
ライブエイドでの素晴らしい演奏であり、
フレディ亡き後残されたメンバーによるその後のチャリティ活動、
メッセージソングなのでしょう。

そして、ブライアン・メイによる辺野古署名の声掛けなど
小さな行動もまた、
すべて同じ想いの中で続いている自然で当たり前の行為なのだと
僕は信じています。

僕たちも僕たちのショーを続けましょう!
子どもたちのために。




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さっさ
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フリースクール、ドリーム・フィールドのスタッフです~  得意なことは天然トークと忘れ物です(笑)  キーボードとコーラス、フルートも吹きます。  オーボエを吹いた時代もあるなあ~  浜松学芸高校を中退してスクールで働き始めて5年目、通信高校の?年生だよ!  よろしくね!
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