2018年03月29日

福祉事業所が直面する矛盾と不条理 ③

【厚労省の方針改定からみえるもの】
  
1. 「不登校」「広汎性発達障がい」「精神疾患」に対する理解不足

そもそも、以前は「児童デイサービス」というタイトルだったのが
「放課後等デイサービス」となった時点で、すでに
「学校ありき」「学校に行くのが当たり前」という前提の
サービスになっています。

児童のサービスを必要とする不登校の子どもたちは
かなり多数存在するのに、
そうした子どもたちや保護者の皆さんの苦しくつらい心情を
全く理解していないと感じる場面はたくさんあります。

役所窓口担当者が、保護者に対して
「学校に行っていない子は放課後デイサービスを受けられません。」
などと誤ったことを平気で言い放ったというケースもありました。
傷ついた保護者からそれを聞いてすぐに、担当課に抗議し
保護者に謝罪し撤回させましたが。

今回の改定でも、
「学校との連携で補助額を上乗せ」などという加算ができました。 
ただでさえ本人は、「さんざん傷ついてきた学校との関係は避けたい」
と考えるのも、不思議なことではありません。
そして、ほとんどの不登校生にとってみれば、
学校に戻そうという働きかけは大きなプレッシャーになります。
また、学校側にとってみるとフリースクールは、
「自分の学校を不登校になった子どもが元気に通う施設」
であり、教員の中にはフリースクールを良く思わない人もいるものです。

もちろん連携、情報共有そのものを全否定するわけではありませんが、
そういった子どものデリケートな心理や
学校と施設との複雑な関係性を考慮せず、
ただ「連携すればご褒美」なんて、ばかげた話です。

広汎性発達障がいへの理解も、全くと言っていいほど不足しています。
本人に対してはもちろん、
保護者や周りでサポートしている人たちを「舐めて」いると感じます。
「どうせ軽いんだから」
「しつけで何とかなる」
「本人が頑張れば良い」
などと思っている人は少なくないのでしょう。

周囲の無理解に苦しみ、日々悩みを抱えながら
子どもたちの向き合ってきた保護者の皆さんの心情を考えると、
今の福祉、社会が、実に冷たいと感じてしまいます。

2. 「自立」という美名を使った社会保障費削減

人というものは、生きてゆくうえで助け合うのが当たり前。
それは、社会や国家という枠組みを超えた当然の行いです。
しかし残念なことに、私たちは日々の生活の中で
そういった助け合うべき場面を見落としてしまったり、
気付かないで過ごしてしまったり、
時には忙しさなどでゆとりを持てず、十分にできないものです。

そのためにあるのが「福祉」という制度であり、
私たちは「福祉」という制度を使って、言うなれば
「当然すべきことができないことへの罪滅ぼし」をしているのです。

ですから、私たちが
「福祉」のために税金を払うのは、至極当たり前の義務であり、
生きづらさを感じたり、生活に行き詰ったりした人たちが
「福祉」の制度を利用するのは、当然の権利なのです。

ところが、今の福祉制度は「自立支援」という言葉で覆われています。
この「自立支援」という言葉は実に胡散臭いものなのです。

確かに「自立」という言葉は聞こえが良いし、
「自立」そのものは、決して悪いものでもありません。

しかし、そもそも「福祉」は「自立」が「目的」なのではなく、
それは単に「結果」の一つに過ぎないのです。

「福祉」の目的とは、「自立」させることではなく
「支えること」そのものなのですから。

まず「支える」ためにこそ、福祉制度があるのです。
本来は、自立するかしないかや、自立までの時間の長短に関係なく、
生きづらさを感じたり、生活に行き詰った人を
支えるためにあるのですが、
「自立」という言葉が「目的」となって先行してしまっているため、
「納税者になってもらう」
「自立できない人はダメ」
「生活保護を受給することは罪悪」
「自立できない障がい者は哀れな人だ」
などという愚かな認識を持つ国民が増えてしまうのです。

「自立支援」という言葉は実に胡散臭いもの。
きれいごとのように使われますが、その実態は
社会保障費の削減と弱者切り捨てのための用語となっています。



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フリースクール、ドリーム・フィールドのスタッフです~  得意なことは天然トークと忘れ物です(笑)  キーボードとコーラス、フルートも吹きます。  オーボエを吹いた時代もあるなあ~  浜松学芸高校を中退してスクールで働き始めて5年目、通信高校の?年生だよ!  よろしくね!
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